深夜1:30。 カ―ステからはサザンのライブがながれている。 環七から新青梅を左折し、ボリュームを下げる。跳ばせば2時には家に着く。
エリからメ―ルの着信があったのは、夕方近くだ。 『久しぶり。覚えてますか?GWなにやってるの?』 半年ぶりのメ―ルだ。 知り合った時にメ―ル交換し、食事をしただけで親しいわけではなかったから、思い出すまでにしばらくかかった。
…誘っているのかな?一押しして欲しいんだろうな… 『久しぶりだね。せっかくだからお茶しよう。今夜迎えに行くよ』
エリは明日の昼をイメージしていたらしいけど、強引に今夜逢うことにしたのは、単純に深夜車を運転したい気分だったからだ。
夜九時に品川でエリを拾い、お台場へ。 もう23時なのに海浜公園の駐車場は満車だ。
浜辺をゆっくり歩く。 春の穏やかな潮風が肌に気持ち良い。二人の距離が縮まっていく。 お台場に職場がある彼女は、夜景なんて見慣れているだろうに、湾岸のイルミネーションを見ては、スゴイキレイ〜と歓声をあげている。
一通り歩いて自由の女神像の前で立ち止まる。
「ねぇ、本物の自由の女神って、どれ位大きいか知ってる?」 「ん?こんなもんなんじゃね?」 二人でスロープに手を置き、見上げる。 「うそうそ。だって本物は中に入って掃除してるよ」 「そういえばそんな映像見たことがあるな。つ〜ことはこれの何十倍だな〜」 エリを見やると、いいなぁ、本物見たいなぁと空を仰いでいる。レインボーブリッジのイルミネーションが瞳に映り込み、優しく瞬く。
たまらなく愛しく感じ、後ろから抱き締め、そのまま正面を向ける。 彼女の首筋に唇が触れる。 「キスしていい?」
「えっ…、ちょっ…、まっ…、…もう…」
そういうと、微かに横を向いていた顔を正面に向け、わずかにエリの唇が開いた。顔を傾ける。 所在無げに僕の肩に置いていた両手が、背中に周される。
帰り際、きっと答えないだろうと思いながら、最後に聞いた。
「何かあったの?」
しばらく時間か空いた。
「ううん、何にも無いよ…」
瞳を逸らせて哀しげに笑った。
深追いはしなかった。
家に着いた。二時ちょっと前。夜風が気持ち良い。
また、逢えるのかな? エンジンを切ると、静寂の中へ。 唇の感触だけが、心地好く残っている。
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