なつとは一度関係を持った。 逢うのはその日以来二年ぶりだ。
千鳥が淵の桜は今夜が満開で、ライトアップされた水面に映り込む桜達はとても幻想的だった。
連絡をとったのは深い意味は無かった。ただ、その身体を忘れられなかったのは事実だ。 もし可能ならもう一度抱きたかった。 多分僕にとって相性はとてもよかったと思う。 何回か身体を重ねて、互いが気持ちよいように身体が慣れていくのとは違い、一回だけのSEXは互いの本質が見える。 後ろで足を絡まれ、後にきちんと口で綺麗にしてくれた。 単純に嬉しかった気がする。
2年ぶりに逢う彼女は昔と少しも変わっておらず、フリーの翻訳家として生計を立て、暇を見つけては海外旅行に行っていた。 数年ぶりにあっても、そんな期間があったと思えないくらい、お互いナチャラルでいられる。 同姓ならきっと親友になっているとお互いが認めている。
関係を持ったとき、なつには同棲中の彼氏がいた。その彼とは一ヶ月前に別れたそうだ。 今は40過ぎの商社マンと不倫中。 海外のホテルと航空券を手配してくれ、海外でのデートも多いらしい。
なんだか、一時期のトレンディドラマのような話だが、それはそれでいろいろと悩みが多いみたいだ。 そんなことをしてしまえる男は、同じ男として、羨ましい環境ではある。また、そんなことが出来しまえる彼に嫉妬も感じる。
なつが言った。 「男は30を超えてから真価が問われるのよ。ますますいい男になってね!」 「いい男ね〜。なつが思ういい男ってどんな?」 「私が個人的に思うのは、仕事をきっちりとこなして、でも仕事に呑まれない男。自分という核をしっかり持っている、みたいな」 「その条件を俺は少しは満たしているのかな?」 「あなた、そういうタイプよ。付け加えると、ちゃらちゃらしてて、女性的な雰囲気もっているんだけど、たまにすっごく男らしいこと言ったり、行動したりするのよ。そこに魅かれる子、多いとおもうわよ。」
(そんなもんなのかな。仕事はしっかりやってるし、そもそも仕事自体好きだし。でも呑まれてる。自分という核をもってはいたけど、最近は流されることの方が多い・・・。)
キスだけしてわかれたのは、俺のそんな内面を見透かされたからか。
また桜が咲くころ、逢いたいな。その頃、互いはそれぞれどんな状況にいるのだろ。
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