いよいよ入院だ。
通勤による満員電車の中には、ボストンバックとデイバックを満杯にした状態では乗り込めない。いや、乗り込む気力がわかない。荷物は何だかんだと多くなった。各駅停車で時間ギリギリに到着。受付を済ませ、8階の入院病棟へ。
他の入院患者の様子を見て愕然とする。皆鼻からチューブを通し、点滴をぶらさげ、顔面を数倍に腫らしている。顔色は悪い。 気が滅入る。 病室は三人部屋で、一人は只今手術中。もう一つベットは空いている。明日入院してくるらしい。僕は一番ドア側で、ナースステーションの真ん前だ。
そんなこんなで初日から要領も判らぬまま色々な検査やら教授回診やら。なれない検査に面白さを無理やり見つけてテンションをあげる。そうでもしないとどんどん沈んでいきそうで。
僕が色々な検査を終えて夕方部屋に戻ると、手術を終えた彼が帰ってきていた。点滴と鼻からチューブを入れている(胃チューブ)。とっても辛そう。度々医者・麻酔医・看護士が術後の様子を見に来る。 麻酔から醒めて数時間すると、胃チューブに苦しみ始める。 全身麻酔も手術も確かにつらいし怖いが、看護士や他の患者曰く何が一番つらいかと言えば、この胃チューブが筆頭に上げられるそうだ。全ての食事(液体)や水さえも鼻のこのチューブから胃に入れる。 彼も鼻血が止まらず、喉もあれ、胃が受け付けず苦しんでいる。鼻骨や食堂などに当たって痛いそうだ。
僕もそれを入れることになっている。。。
「詳しいオペの説明を行います。今日でも明日でも気持ちが落ち着いてからで良いですが、いつにしますか?」 「今日で。」 「お一人で聞きますか?」 「はい。」 「・・・大丈夫ですか?」 「・・・はい。」
時間になって指定された部屋へ行く。医者が4名。緊張してくる。 筆頭は綺麗な女医さん。 穏やかにしっかり、やさしく説明してくれる。 書類やらレントゲンやら色々な資料を見る。だいたいは今までの説明をより詳しく説明しなおしている感じだ。
「・・・・・・で、身体欠損になってしまいますが、早急に摘出することをお薦めします。そしてGENさんの場合、神経にまで到達している可能性が非常に高いため、麻痺が残る可能性が高いです。そして悪性の可能性も僅かですが残っています。」
・・・身体欠損・・・
・・・麻痺・・・
・・・悪性・・・
わかってはいるけど、きついよな。 この女医さんに、僕は何かそんなに悪いことをしたの? こんなことにならなきゃいけないほど人を傷つけたりした? と問いかけたくなる。
「もっとも、欠損は外見からは判らないし、麻痺も運動神経では無いので、そこに触れてはじめてなんとなく判るという種類のものだし、事前の検査では悪性の可能性は低いですし。」
いろいろ質問をする。丁寧に応えてくれる。 でも麻痺のくだりでは涙が出てきた。 一つだけ良いこと。どうやら僕は胃チューブはやらなくて大丈夫みたいだ。
「納得くいただけたらサインをしてください。大きなことですから、ゆっくり読み直して、また後で提出しても大丈夫ですよ。まってますから。」 「大丈夫です。サインします。先生、よろしくお願いします。」 「はい。」
説明された部屋から病室迄の道のりがすごく長く感じる。
夜18時に夕食。味気ない。 食事位は全て病室ではなくデイルームで食べようと決心。 このデイルームからは東京タワーが見れる。 東京タワーは綺麗だ。
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